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今回は、テーマをがらっと変えて、刑事手続について書いていきたいと思います。もしなにか犯罪をやってしまったらどういう手続をとられるのかをみていきたいと思います。なお、これから述べることは、誤りがある可能性もありますので、参考程度にお考えください。
殺人などの重大事件の場合については結構想像がつくという方もいらっしゃると思いますが、比較的軽微な事件(万引きなど)については、どういう処理がなされるか意外と知らないという方も多いと思われます(私も実際みるまでよくわかりませんでした)。
スーパーで万引きをしてしまい、それが店員に気付かれていて、店外に出たところで声をかけられ、警察を呼ばれたという例で考えていきます。
 まず万引きという犯罪は、刑法235条の窃盗罪に該当します。ちなみによく店外に出て初めて声をかけるということが聞かれると思いますが、それは確実に盗んだ(既遂)といえ、未遂ではないというためであるとか、買うつもりだったと言い逃れできないようにするためであると思われます。
しかし、裁判例からすると、おそらく店内であっても、商品をかごなどでなく、服のポケット等に入れて隠した時点で、既遂に達するとの評価がなされると思われますのでご注意ください。
 警察がきて犯人を警察署に連れていきます。ここでどんな事件も逮捕されると思われるかもしれませんが、軽微な犯罪では、逮捕はされないことが多いです。
 任意同行という形で連れていかれ、取り調べを受けることになります。そこでは万引きについてだけではなく、どういう人物であるかなど周辺の事情についても結構細かく聞いて調書を作成します。
 それが終わると、その日はもう帰ることができます。仮に非常に軽微な事件であれば、この事件はもう終わりでなんら処分はされません(もちろん警察署に記録は残りますが)。これを微罪処分といいます。
通常の場合は、その後、警察の方で被害店舗のスーパーでの被害確認などの捜査をして、書類を作成し、その書類をまとめて検察庁に送ります。一般に書類送検と言われるものです。
 検察庁に来た書類を検察官がみて、どういう処分が妥当か決定します。その際、事情を聴くために、少なくとも1度は犯人に検察庁に出頭してもらうことが多いです。
 そして検察でも新たに書類を作成し、最終的な処分を決めます。万引きで考えられるのは、軽い順から起訴猶予、略式請求、公判請求です。
起訴猶予は、なんら処分をしないで終わりということです(もちろん書類は検察庁に残ります)。
略式請求とは、罰金刑が科されますが、わざわざ法廷に来て判決を受けることを省略したものです。家に罰金の支払い命令書が届きます。ちなみに窃盗罪の罰金は50万円以下で、もちろん事件によりますが大体20万円から30万円くらいでしょうか。
最後の公判請求は起訴され通常の裁判を受けてもらうというものです。争いが特になければ大体1日で証拠を調べたり、被告人に尋問をしたりして、2週間後くらいに判決が下されます。そのため、2日は裁判所に出頭しなければなりません。判決は、事件によりますが、執行猶予付きの懲役刑が多いと思われます。執行猶予とは、判決で指定された年数の間、犯罪(今回と同じ犯罪に限りません)をしなければ、懲役刑を科さないというものです。仮にしてしまうと、その犯罪による懲役刑に前の懲役刑をプラスして刑務所に入らなければなりません。
万引きは、常習犯が多いのですが、最初は微罪処分、次に起訴猶予という段階を歩み最終的に懲役刑をいうことになっていくことが多いと思われます。
 今回は以上です。
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2013.10.09 Wed l 司法修習生のつぶやき l コメント (0) トラックバック (0) l top